それいゆ

 観に行ってきましたよ「それいゆ」
 セツ・モードセミナーに行くため上京した年に中原淳一寺山修司が続けざまに亡くなり、「東京にいれば、いつかは会えるかも」と少し期待をしていたのに出端をくじかれた30数年前。長沢セツは中原淳一がひいきしていた作家のひとりということは、すでに本などで知っていた。 「これから現実にスター作家の所へ通うんだなあ…寺山修司にはもう会えないのが残念だったけど。」と、いう当時のキモチ。
 で、「それいゆ」
 じつはね、連続テレビ小説みたいなんだったらイヤだな……と、ちょっと不安だったんですよ。芦原邦子役なんてでてきたら…とか。 でもそれがね、なかなかリアルでシビアな男の戦いと、時代の寵児といわれ幸せなはずなのに、大きな欠陥をかかえて一人苦しむ中原淳一の様子が描かれていてヨカッタです。ちゃんと高英男役とか、鈴木悦郎をはじめ当時の「ひまわり」の新人作家を1人にまとめた秘書兼弟子とか、実話とフィクションの配合もバランスいいとおもいました。ワタシが好感を持ったのは中原と対照的な役所、自称実業家のインチキ野郎でした。 


 昭和22年のそれいゆ 表紙:長沢セツ

 第二次世界大戦を経て、モノトーンの焼け野原からまたキラキラピカピカのカラフルな世界をよみがえらせたのは、中原淳一・長沢セツ・内藤ルネの「3大N」だとワタクシは強く、しつこく主張する。(リアル中原淳一の命日は今月19日です)。
 長過ぎる低迷(万年下積み)で気にもかけることがなかったが、ワタシの名前にも「それいゆ」があるのだし…